2018.11.8
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経営

経営者に知ってほしい、真に認められる企業を作るためのESG経営

(写真=yuttana Contributor Studio/Shutterstock.com)
(写真=yuttana Contributor Studio/Shutterstock.com)
戦争や環境破壊といった世界規模の問題や、サービス残業による超過労働やパワハラ、セクハラ、やる気の搾取などを続ける企業に対して、投資家たちが独自の視点から異を唱え始めました。

これらの是正につながる大きな流れを感じさせるものがESG投資の考え方です。本稿では、近年注目を集めているESG投資とそれを活用するための「ESG経営」について紹介します。

ESG投資とは

ESG投資では、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3要素をもとに、業績だけではなく、環境や人権などの問題にどれだけ企業が取り組んでいるかを考慮して投資基準とします。

CSR(企業の社会的責任)のような倫理基準ではなく、あくまでも企業価値向上の裏付けとなる将来的な期待を担った「純然たる投資基準」であるところが特徴です。

たとえばESG投資で評価の高い企業に富士フイルムが挙げられます。富士フイルムでは、地球環境の保全や温暖化対策、化学物質の排出量の削減から人権への配慮に至るまで、ESGをベースに社会問題に対して、多岐にわたる項目を企業として取り組んでいます。明確なデータによってESGに基づいた社会的な取り組みを発表することで、富士フイルムは将来的な安定性と安心感を多くの投資家に伝えることに成功しています。

ESG投資の起源

環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)という3要素の重要性が増したのは、2006年に国連が打ち出した「責任投資原則」(PRI:Principles for Responsible Investment)の中にESGという言葉が織り込まれたことによります。

PRIでは、ESG投資を含む「機関投資家が遵守すべき6つの原則」を定めており、2015年9月に「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF:Government Pension Investment Fund)がPRIへの署名。大規模な機関投資家が動き始めたことにより、投資対象となる企業サイドにおいても「ESGの評価」は無視できない存在となりました。

また、長時間労働、差別、環境破壊など、様々な問題が取りざたされる現在においては、民間の感情としても上記3要素をもとに「真の価値ある企業」を高めていく「ESG経営」という発想が年々求められるようになり、個人投資家の間にも少しずつ浸透しつつあります。それに伴い、ESGに関連した個人向け金融商品も市場に出回ってきました。

ESG経営のメリット

そもそも世間では、ESG経営が注目される以前からCSR(企業の社会的責任)やSRI(社会的責任投資)などが取りざたされていました。CSRレポートや統合報告書などを通じて、企業の社会的責任を対外的にアピールすることも実務として定着しつつあります。

ただし、定着しつつあるとはいえ、CSRやSRIは、一部投資家から「IR(インベスター・リレーション)で報告しても仕方がない」と揶揄されている側面があります。その理由はCSRやSRIが、あくまでも自社内の責任に過ぎず、それらを通じて何を誰に訴えるのかに欠けているためです。

CSRやSRIとESG経営が異なるのは、CSRやSRIが責任という面に帰属しているのに対して、ESG経営は企業価値の向上につながることに重きを置いている点です。実際、ESGに対する管理レベルが高い企業では、資本コストが低く、業績の安定性も高いという研究結果があります。

ESG経営をどのように経営に活かすのか

それでは、具体的なESG経営とはどのようなことを意味するのでしょうか。これはESGの各要素を考慮した経営を目指すということになります。たとえば、環境(Environment)では、生物多様性、気候変動、水質汚染、化学物質の安全性や持続可能性などへの配慮が挙げられます。

また、社会(Social)では、地域社会との関わり、雇用の機会均等、人権問題への対処など、ガバナンス(Governance)では、取締役会の機能、女性取締役の就任、腐敗防止策などが課題となります。

特にガバナンス(Governance)に関しては、近年、政府の舵取りで導入された、投資信託や年金基金などを運用する機関投資家が果たすべき責任原則を指すスチュワードシップ・コードや、主に上場企業が守るべき企業統治にかかる行動原則を示す、コーポレートガバナンス・コードに対応してゆくことも具体策となるでしょう。

ESG経営の極意とは

ESG経営に取り組むためには、第三者的立場で計画策定やモニタリングをサポートしてくれる専門家の力を借りることが有用です。また、その成果を統合報告書などに取りまとめることも役立ちます。

ESG経営は結局のところ、企業を取り巻くあらゆる利害関係者との関係性の中で企業が長期安定的に成長できる経営を目指すことにつながります。ESGに取り組むことは社会貢献になるだけでなく、ひいては自社の発展へつながることは間違いありません。

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