2018.7.9
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人事・組織

「ネット炎上」に対する、人事労務の対策方法

(写真=Chinnapong/Shutterstock.com)
(写真=Chinnapong/Shutterstock.com)
インターネットの普及に伴い、会社の従業員が、SNSやインターネット掲示板などに会社の誹謗中傷を書き込むことで、しばしば問題が起こっています。いわゆる「ネット炎上」と呼ばれるこの問題。IT時代における人事労務では、ネット炎上を未然に防ぎ、またいざ起こった際に対処する手段も学んでおかねばなりません。本稿では、ネット炎上を防ぐための方法について説明していきます。

炎上してからでは遅い!新たな対応が求められる人事労務管理

インターネットにおける企業への誹謗中傷は少なくありません。例えば転職サイトで中傷された場合、求職者が遠ざかったり、従業員の士気が大きく低下したりします。口コミサイトで、商品の性能や渉外における社員の態度、クレーム対応について悪評が広まったのであれば、売上の減少や不買運動に発展することもあります。

このような問題を未然に防ぐためには日頃からの接客対応やコンプライアンスの遵守はもちろんのこと、インターネットにおける特性について知っておく必要があります。

インターネットでの誹謗中傷による特徴

インターネットにおける誹謗中傷には以下のような特徴があります。

1. 情報の出所がつかみにくい
インターネット上の書き込みで、明らかに誹謗中傷を目的としていると思われる場合、書き込みをした人は匿名であることがほとんどです。そのため、加害者を特定するのに手間がかかり、対応が困難になります。

また、中傷内容が悪質で、噂が一気に広まって拡散してしまうと、最初の書き込みとなった出所がどこにあるのかさえ、特定しにくくなります。さらに、噂が大きく拡散してしまった後は書き込みを完全に消し去ることが難しくなります。とくに外国の掲示板やサイト上のキャッシュに残った情報などは、内容を削除するのに大変な労力を費やさねばなりません。

2. 個人攻撃の可能性
誹謗中傷は、企業それ自体に向けられるとは限りません。いざこざのあった上司や同僚、取引先、顧客などの個人に対する攻撃もあり得ます。個人情報であるにも関わらず、本名や住所・電話番号・家族構成やプライベートなど、さまざまな情報がウェブサイトなどに拡散され、ときに関係者の日常生活が困難になるおそれもあります。

3. 損害賠償による二次被害
誹謗中傷を行った加害者が特定できれば、損害賠償を請求することが可能です。しかし損害賠償を行うにあたっても慎重な見極めが求められます。

例えば過酷な労働条件に憤慨した社員が、インターネット上で激しく会社を誹謗したとします。このとき素直に謝罪をして引き下がればすぐに問題は収まったにも関わらず、企業側が情報の発信者を特定し、損害賠償を求めた場合、炎上をはやし立てている他のネットユーザーたちから猛反発をくらうことにもなりかねません。

いわゆる「燃料投下」による二次被害だといえるでしょう。

「事前」に行いたい人事労務問題への対処

以上のようなインターネット上の特性を理解した上で、誹謗中傷が起きないよう、事前に予防措置をとることが重要になります。

予防措置としては以下のような対応策が考えられます。

1.ガイドラインの作成や就業規則の改定
従業員がインターネット上で誹謗中傷を書き込んでいたことがわかった場合、社内で懲戒処分の検討をすることになります。しかし、就業規則などの社内規定に該当する内容がなければ処罰のしようがありません。

このため就業規則は、インターネット上におけるトラブルも想定したものに改める必要があります。また、何が違反か具体的にわかるよう、FacebookやTwitterをはじめとする、各種ソーシャルメディアを含めた、インターネット全般を利用する際のガイドラインを作成しておくことが重要です。

2. 教育研修
従業員に対し、ソーシャルメディア利用に関する企業方針を素早く正確に伝えるために、社内でSNS教育研修を行うことも有効です。

例えば「機密情報の保護」や「自社内に関する情報発信」、「誹謗中傷の禁止」など、明確なコンテンツを立て、実際に起こった事例なども併せて紹介していくことで炎上を起こりにくくすることができます。

3. 個別の契約書等
従業員のプライベートな時間に行うSNS発信などを制限することはできません。しかし、会社に対する誹謗中傷の書き込みをしないよう、前もって個別契約書や誓約書を通じて、従業員に意識づけをすることも可能です。

4. クリーンな組織づくり
誹謗中傷の書き込みをする人が、従業員もしくはかつての退職者である場合、そこには必ず何らかの会社への不満があるはずです。例えば理不尽なパワハラを受けたり、セクハラ被害に遭ったり、嫌がらせや過酷な労働時間で苦しんだなど、必ず誹謗中傷の書き込みとなった動機が存在します。

関係者から誹謗中傷をされたということは、会社としてはその処理をすると同時に、自社の体質や組織内の改める点も見つめてみる必要があります。日々、クリーンな組織づくりを心掛け、従業員が気持ちよく働けることも炎上トラブルの予防につながります。

誹謗中傷を受けた会社としては納得のいかない面もあるかもしれませんが、例えば転職などで辞めていく従業員も円満に送り出してあげるなど、相応の配慮をしてあげることも心がけるようにしてみましょう。

炎上は事後対応よりも未然に防ぐことを

SNSや口コミサイトなど、インターネット上での書き込みによって炎上などのトラブルに発展した場合は、スピーディーな対応が必要です。しかし、一度、炎上が起きてしまうと大ごとになってしまうため、企業が大きなダメージを受けてしまいます。何か起きてからの対応よりも、起こらないように事前に予防措置をしっかり講じることが何よりも大切です。

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