2018.7.30
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人事・組織

本当にお得?人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の注意点

(写真=Keepsmiling4u/Shutterstock.com)
(写真=Keepsmiling4u/Shutterstock.com)
空前の人材不足といわれている現在、中には人手不足倒産にすら陥ってしまった企業もあります。このような事態に直面するのを未然に防ぎ、人材確保や定着向上の手段として、従業員の就労条件改善や新制度の導入は必須といえます。国としても企業における労働環境の改善とともにさらなる雇用の創出を狙って人事評価における助成金制度を始めています。

本稿では、人事評価制度の導入の際に利用できる施策として、「人材確保等支援助成金」から、「人事評価改善等助成コース」の注意点を説明します。

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)とは

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)(以下本助成金)は、人事評価制度(以下評価制度)を整備し、生産性向上や賃金アップ、離職率の低下を図る事業主に対して50万円を助成するものです。支給を受けるためには、計画書を提出したうえで、従業員が意欲をもって就労できる評価制度の整備と実施が必要になります。支給の主な要件は下記のとおりです。

1.    対象者全員への人事評価実施
本助成金での評価制度の対象となるのは、短期間雇用者と時短勤務者を除いた全ての従業員です。フルタイムに近い勤務であれば、アルバイトやパートも全員が対象となります。

2.    労働者個人の意思によって向上できる項目を評価する評価制度の構築・運用
年齢や勤続年数のみではなく、能力技能・資格や本人の努力・姿勢を評価する制度を構築します。

3.    個別に2%以上の賃金アップ
新しい評価制度で対象者が一般的な評価を得た場合、評価後の改定賃金が2%以上増加するような制度とすることが必要です。賃金増加率は企業全体でなく、対象となる従業員個別に計算されます。

目標達成でさらなる助成の支給

生産性向上などの目標達成により、目標達成助成の80万円が追加支給されます。目標達成助成のためには、次の要件を満たさなければなりません。

1.    整備した評価制度を継続運用している
2.    厚生労働省の定める計算式に従い、生産性が6%以上増加している
3.    離職率が30%以下かつ計画時から1%低下(300人以下の企業は現状維持)している
4.    毎月決まって支払われる賃金を引き続き2%以上増加させる

生産性要件を満たすためには、本助成金の計画提出前と、その3年後の会計年度の生産性を比較したときに、数値が6%以上伸びていることが必要です。企業においては人材の定着以外に利益の拡大が不可欠です。また、賃金は制度整備助成時から引き続き2%増加していることが条件であり、費用面での負荷も高くなります。

いつ導入すべき?計画書提出のタイミング 

計画書は、自社における人事評価期間の開始時期の前に提出し、承認を受けられるよう準備しましょう。評価期間が10月1日に開始する場合、遅くとも1ヵ月前の9月1日には計画書の内容が承認されている必要があります。この場合は翌年10月末を目安に支給申請が可能になります。

計画書の承認が評価期間の開始に遅れると、対象となる評価期間は1年後ろ倒しになり、支給完了まで2年近くかかってしまいます。期間の長期化は管理が曖昧になる傾向があり、支給申請手続きの失念による助成金不支給も発生しやすくなります。人事評価期間の区切りに間に合うよう、集中して準備を進めましょう。

人事評価改善等助成コースの注意点は?

本助成金は企業内におけるすべての労働者に、きちんとした人事評価を定めることを目的とした制度です。従業員がより適正に評価を受けられる仕組みを作成、開示するものですから、着手することでなんらデメリットが生じるものではありません。

注意点として本助成金の計画の実施をする際は、「賃金の上昇」「生産性の向上」「離職率の低下」の3点を常に心がけるようにしなければなりません。また、「生産性の向上」「離職率の低下」は、申請した会計年度の前後の年と比較する必要があるため、創業間もない企業は目標達成の80万円の受給はできません。

ただし、いずれにせよ「賃金の上昇」を除けば、他はあくまでも目標達成であり、達成できればさらなる助成が得られるというものです。制度整備助成として支給された50万円を返還する必要はないため、思い切ってチャレンジしてみても決して損はない制度だといえます。

長期運用する体制の整備を

従業員が「正当に評価されている」と感じられる、納得性の高い評価制度整備は、従業員の定着促進にもつながりますが、いくら良い制度であってもすぐに運用を中断するのであれば、雇用促進には何らメリットを及ぼしません。助成金を利用した制度導入に当たっては、50万円という助成金支給額だけではなく、導入にかかる手間や時間などのコストを検討しましょう。継続できる運用体制を構築することが必要になります。

助成金の申請を考えるのであれば、ハローワークのほか、社会保険労務士や中小企業診断士などの専門家に相談しながら、十分に検討するようにしましょう。

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