2018.7.9
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人事・組織

ケースごとに異なる経営者の社会保険加入の必要性

(写真=Gajus/Shutterstock.com)
(写真=Gajus/Shutterstock.com)
中小企業の経営者や個人事業主にとって、社会保険料の負担は決して少ないものではありません。そこで本稿では、事業形態や社会保険毎の加入義務、および社会保険に加入しなくても良いケースについて、解説いたします。なお、社会保険には、狭義(健康保険・厚生年金)と広義(狭義+労災保険・雇用保険)の2種類の定義がありますが、本稿では狭義について解説いたします。

社会保険は加入が原則

法人の場合、業種や従業員数・経営者の意思にかかわらず、一部事業所を除いて社会保険への加入が義務付けられています。また、個人事業主の事業所も適用業種の事業を行い、かつ常時5人以上の従業員を使用する場合は加入義務があります。

経営者等の役員自身が被保険者になれるかどうかは、法人・個人事業主のどちらに該当するかで異なります。法人の場合、法人から労働の対償として報酬を受けている経営者等の役員は被保険者に該当します。一方で、個人事業主の場合、全ての社会保険で被保険者にはなれません。

配偶者の被扶養者となれば加入回避できる?

配偶者がいる場合、配偶者の被扶養者となり、配偶者側の社会保険への加入を検討することもあります。全国健康保険協会の定義によると、保険給付が行われる被扶養者の範囲は次のとおりです。

1.被保険者の直系尊属、配偶者(戸籍上の婚姻届がなくとも、事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、弟妹、兄姉で、主として被保険者に生計を維持されている人
※必ずしも、被保険者と一緒に生活をしていなくても構いません。
2.被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人
① 被保険者の三親等以内の親族(1.に該当する人を除く)
② 被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子
③ ②の配偶者が亡くなった後における父母および子
(全国健康保険協会より引用)

「被保険者に生計を維持されている」状態として、配偶者と同居している場合、年間収入が130万円未満かつ被保険者の年間収入の2分の1未満である場合は被扶養者となります。

では、以下のケースの場合は社会保険への加入が必要か、それぞれ解説いたします。

・ケース1:役員報酬が少ない場合
例えば年間収入が60万円の場合、上述の生計維持の基準に該当しますが、役員報酬が発生すると、金額の大小にかかわらず、社会保険への加入が必須です。よって、このケースでは加入は避けられません。

・ケース2:役員報酬が0円の場合
役員報酬が0円であれば、加入は必須ではありません。また、配偶者の加入している健康保険が「全国健康保険協会」のものなら被扶養者になれますので、このケースでは加入を回避できる可能性は高いです。

・ケース3:他社で社会保険に加入している場合
事業所で報酬を得ているかによって異なります。報酬を得ていない場合は、改めて加入する必要はありません。一方で、健康保険法・厚生年金保険法では、複数の事業所で加入要件を満たしている場合は、それぞれ社会保険に加入が必要と定められています。よって、報酬を得ている場合は加入が必要です。

未加入のリスクも十分考慮を

上述のとおり、社会保険は原則として加入義務がありますが、役員報酬が0円である場合は加入義務がありません。複数の事業を営んでいたり、または複数の会社を掛け持ちしていたりするような方であれば、一社入っていれば他社へは未加入にしたいと思われる方もおられるはずです。

ただし、完全な未加入というのはやはり不安が残ります。社会保険への加入を回避できるケースは限られており、未加入のリスクも多々存在しますので、その点は十分ご留意ください。

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