2018.7.13
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事業承継

事業承継は「中小企業経営承継円滑化法」の活用が決め手!

(写真=T.Dallas/Shutterstock.com)
(写真=T.Dallas/Shutterstock.com)
事業承継を円滑に進めるためには、贈与税や相続税の納税猶予を受けることが重要なポイントとなります。また、後継者がスムーズに会社の運営を行えるよう、後継者に対して確実に株式を集中させることも必要となります。これらを実現するためには、経営承継円滑化法の制度を活用することが決め手です。そこで以下では経営承継円滑化法の概要とその申請手続について解説したいと思います。

経営承継円滑化法の趣旨とは

・ 経営承継円滑化法の目的
経営承継円滑化法は正式名称を『中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律』といいます。この法律の目的を端的に述べると、中小企業の事業承継を円滑に進めることだといえるでしょう。親族内承継がほとんどを占めていた昭和や平成の初期とは違い、現在の中小企業の事業承継は多様化を図るようになってきたことが背景に挙げられます。

経営承継円滑化法には中小企業における事業承継を支援するいくつかの制度が定められていますが、今回は特に2つの施策を取り上げます。

・ 事業承継税制
中小企業の事業承継を円滑化するための施策の一つは、非上場株式にかかる贈与税や相続税の納税を猶予する制度です。これを事業承継税制と呼びます。事業承継に対する高いハードルとなっていた税金負担を軽減するものといえます。

従来、事業承継税制の対象は株式数の2/3まで、猶予される相続税の割合も80%までという制限がありました。しかし、平成30年度税制改正では、これらの制限が緩和され、実質的に贈与税や相続税の負担をせずに後継者に会社を引き継ぐことが可能となっています。

・ 遺留分に関する民法の特例
もう一つの重要な施策が遺留分に関する民法の特例です。遺留分というのは、法定相続人が最低限相続できる割合を指します。例えば、法定相続人が長男と次男の2人の場合、親が長男にだけ全財産を引き継がせようとしても、次男は遺留分にもとづいた減殺請求をすることにより、最低限の取り分を確保することができるようになっています。

しかし、事業承継では自社株を後継者に集中させる必要があります。株式の分散を招く遺留分の制度は円滑な事業承継を阻害するおそれがあるためです。そこで、一定の要件を満たす場合には、民法の特例として、生前贈与した自社株を遺留分の対象から除外できるようにしています(除外合意)。また、遺留分算定の基礎財産に算入する株式の価額をあらかじめ固定しておくこともできます(固定合意)。

事業承継税制を受けるための手続き

贈与税や相続税の納税猶予を受けるためには、知事の認定と税務署への申告が必要となります。具体的な手順としては、まず承継計画を策定し、認定支援機関(商工会議所、商工会、金融機関、士業など)に所見を記載してもらいます。

そして、贈与の実行後あるいは相続の発生後、所定の期限までに都道府県庁に対して認定の申請を行います。申請の際には上記の承継計画を添付します。都道府県知事から認定されると認定書が交付されます。次いで税務署に対して申告期限までに贈与税申告あるいは相続税申告を行います。その際には上記の認定書の写しを添付します。

その後、都道府県に対しては5年間にわたり年次報告書を提出するほか、5年後に実績報告を行います。また、税務署に対しては年に一度、継続届出書を提出します。

遺留分に関する民法の特例を受けるための手続き

民法の特例として遺留分の除外合意や固定合意を行うためには、合意がなされた日から1ヵ月以内に後継者が経済産業省あるいは経済産業局に対して所定の申請書を提出し、経済産業大臣による確認を受けます。申請の際には合意書その他の必要書類を添付します。

経済産業大臣による確認が得られると、確認を受けた日から1ヵ月以内に後継者が家庭裁判所に対して合意の許可を申し立てます。そして、家庭裁判所による許可の審判が確定すると、除外合意あるいは固定合意の効力が生じることになります。

まとめ

以上のように、経営承継円滑化法を活用するためには計画的に準備をする必要があり、手続きとしてはやや煩雑な面もあります。しかし、経営承継円滑化法は、今回取り上げた事業承継税制や遺留分に関する民法の特例以外にも、日本政策金融公庫の融資や信用保証協会の保証枠に関して有利な取り扱いも定められています。事業承継を行うにあたり、非常にメリットの大きな制度といえるため、認定支援機関など専門家のサポートを受けながら準備を進めるのがおすすめです。

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