2018.7.23
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事業承継

中小企業庁が公表する「事業承継マニュアル」が秀逸な理由

(写真=Wor Sang Jun/Shutterstock.com)
(写真=Wor Sang Jun/Shutterstock.com)
事業承継の準備が必要であるにも関わらず、先送りになっているケースは少なくありません。その理由として、経営者が日々の業務に追われていることに加え、そもそも何から着手して良いのかわからないことが挙げられます。

経営者が事業承継に向けて実施すべき事項をわかりやすく解説した資料に、中小企業庁が公表する『経営者のための事業承継マニュアル』があります。この事業承継マニュアルを活用することで、自社が事業継承を行うにあたり、何が必要で、どのようなサポートを受ければ良いのかを知ることができます。今回はこの事業承継マニュアルの概要を紹介したいと思います。

事業承継マニュアルとは?

会社の規模や業種にもよりますが、中小企業における経営者の引退年齢は67~70歳といわれています。我が国の人口の年齢分布から考えると、今後も多くの経営者が引退を迎えることでしょう。

中小企業庁は、中小企業が将来にわたって持続的に発展することを目的に、次世代へのスムーズな事業承継を目指しています。中小企業は雇用の機会創出や新たな技術の開発などを担っています。このため、事業承継を促進できるよう、中小企業庁では別途、事業承継ガイドラインを作成しています。

事業承継マニュアルは、中小企業の経営者が事業承継ガイドラインに沿って対策を進める上でポイントとなる事項をまとめたものと位置付けられます。

マニュアルの内容は?

事業承継マニュアルは、1「事業承継計画の策定」、2「具体的なアクション」、3「事業承継に対するサポート体制」の3つの構成で各種のポイントが記載されています。

・ 事業承継計画
事業承継計画とは、事業承継に向けた具体的な行動を計画に落とし込んだものです。事業承継は後継者を中心に、たくさんの人が関わる中長期のプロジェクトといえます。そのため、経営方針や目標などを明確にし、さらに後継者、親族、従業員、取引先、金融機関など、各種の関係も考慮に入れながら、計画を策定していくことになります。

事業承継マニュアルでは、事業承継計画の策定に必要な作業として「自社の現状分析」、「今後の予測」、「方向性および承継時期」、「目標の設定」、「課題の整理」を挙げています。

事業承継は経営者1人で成し遂げられるものではありません。そのため、マニュアルでは、策定した事業承継計画を関係者と共有することの重要性にも触れています。後継者を関係者に公表し、協力を仰ぐという観点からも事業承継計画の共有は重要な意味を持ちます。

事業承継計画の様式や記入方法は、事業承継マニュアルの中で紹介されていますので、実際に策定する際の参考にすると良いでしょう。

・ アクション
事業承継に際して取り組むべき具体的なアクションは多岐にわたります。事業承継マニュアルでは、以下のような区分にもとづき、各種の施策を解説しています。

● 後継者の選び方・教育方法
外部機関によるセミナーの活用方法の紹介
● 経営権の分散防止
遺留分減殺請求を想定した対策、種類株式や信託の活用方法など
● 事業承継に伴う税負担と対策
贈与税や相続税の対策として事業承継税制などの解説
● 資金調達
 自社株式取得に向けた金融機関等からの資金調達方法や、経営承継円滑化法にもとづく金融支援の方法など
● 債務や個人保証への対応
経営者個人による会社への貸付の対応や、金融機関による経営者保証の解除の方法など
● 社外への引継ぎ(M&A等)
 M&Aを用いた第三者譲渡や企業価値の算定方法、国によるM&A支援機関の紹介など
● 個人事業主の事業承継
 個人事業主における事業継承の課題など

・ サポート体制
マニュアルには、事業承継を行うにあたってのさまざまなサポート体制が紹介されています。例えば、国の支援機関である事業引継ぎ支援センターでは、事業承継の専門家が全般的な相談に乗ってくれるほか、外部専門家の紹介が受けられます。

上記に加え、身近な支援機関として商工会議所、商工会、金融機関、専門的な支援者として税理士、弁護士、公認会計士、中小企業診断士などが列挙されています。事業承継マニュアルの巻末にはそれぞれの専門家が対処できる分野や連絡先などもまとめられているため、事業継承を行う際、参考になることでしょう。

早期に着手する必要性

事業承継の対策は多岐にわたる上、長期に取り組むべき課題も数多くあります。事業継承を考えた際にはなるべく早期に着手することが1つのポイントといえます。事業承継マニュアルで概略を掴み、さっそく事業承継対策の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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