2018.9.21
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事業承継

事業承継を検討したい経営者必見!2027年まで限定の納税猶予制度とは?

(写真=Monkey Business Images/Shutterstock.com)
(写真=Monkey Business Images/Shutterstock.com)
2018年度の税制改正で事業承継税制が改正されました。事業承継税制が創設されて10年となり、当初は複雑な制度体系や厳しい条件から認定件数が伸び悩んでいましたが、2015年の改正で適用条件が緩和され、認定件数は徐々に増加傾向となりました。

それでも低水準に止まっていたため、さらなる利用促進のために今後10年間の限定措置として「特例税制」が設けられることとなります。本稿では事業承継を検討したい経営者が知るべき、特例税制と現行制度との違いや、利用における注意点を解説します。

そもそも事業承継税制とは

会社の後継者が贈与や相続によって非上場株式を取得した場合、一定要件を満たすことで贈与税・相続税の納税が猶予・免除される制度です。2008年に施行された「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(以下、円滑化法という)」に基づき、都道府県の認定を受けた非上場中小企業に関係する贈与税・相続税が対象となります。

特例税制と現行制度との違いは?

特例税制では現行制度よりも利用条件が緩和され、活用しやすい制度となっています。現行制度との主な相違点を以下にまとめました。

● 納税猶予の対象となる株式および猶予割合が100%に

現行制度では納税猶予となる対象株式は、発行済み株式総数の2/3まででしたが、特例税制ではすべての株式が対象となりました。

また、相続税の猶予割合は対象株式の80%でしたが、特例税制では100%に拡大され、贈与税と合わせて事業承継時の税負担がすべて猶予されることになりました。

● 贈与者・受贈者の範囲拡大

現行制度では1人の先代経営者から1人の後継者への贈与に対象が限られていましたが、特例税制では親族外を含む先代経営者以外の株主からの贈与も対象となり、受贈者も代表権を有する後継者で発行済株式総数の10%以上を有する上位3名までが対象となりました。

● 雇用要件の事実上の撤廃

現行制度では事業承継後5年間は平均して従業員数の80%を維持することが求められています。維持できなかった場合、認定が取り消され、猶予されていた相続税・贈与税を利息含めて支払わなくてはなりません。

しかし、従業員が数名の小規模事業者の場合は1名減となるだけでも80%を維持できないこととなってしまいます。また、経営環境の変化で業績が悪化しても人員削減ができないなど、企業側から見ると厳しい条件でした。

特例制度では雇用要件が事実上撤廃され、要件を満たせなくなった場合でも、都道府県知事に対して「下回った理由を記載した報告書」(認定経営革新等支援機関の確認が必要)を提出し受理されると、認定が取り消されないこととなりました。

● その他の相違点

上に挙げた以外にも、相続時精算課税の適用範囲の拡大や経営環境の悪化時の減免措置の拡大が行われました。

ここまで主な相違点を記載してきましたが、実際にはさらに細かい条件が付されています。利用を検討する場合は、必ず詳細を専門家に確認して慎重に進めましょう。

特例措置を利用するためにするべきこと

今回導入された特例措置は2027年12月31日までの時限措置です。この日までに円滑化法の認定を受け、「特例承継計画」を都道府県知事あてに提出した上で、後継者が贈与・相続により株式を取得する必要があります。

「特例承継計画」には会社の概要や現経営者、後継者の情報、株式の承継を行うまでの経営計画、後継者が株式等を承継した後5年間の経営計画等を記載し、認定経営革新等支援機関の確認の上、都道府県知事に提出します。

● 「特例承継計画」は2023年3月31日までに提出が必要

注意が必要なのは「特例承継計画」の提出期限が2023年3月31日ということです。この日までに提出しない場合、特例税制は利用できなくなります。もちろん現行制度での事業承継税制は利用できますが、対象株式・猶予割合の拡大や雇用要件の緩和等の措置は受けられなくなります。利用を希望する方は、早めに支援機関とも相談して特例承継計画を提出するようにしましょう。

専門家と相談して計画的な実施を

事業承継税制の改正で相続税・贈与税の納税猶予を受けられる範囲や条件が緩和され、現行制度と比較すると利用しやすくなりました。とはいえ、複雑な制度であることに変わりはなく、将来的に適用条件から外れてしまうと急に大きな税負担を求められてしまう可能性もあります。利用を検討するのであれば専門家とも相談しながら、計画的に進めていく必要があるでしょう。

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