2018.9.25
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事業承継

事業承継でも力を発揮するファンドの活用方法

(写真=lovelyday12/Shutterstock.com)
(写真=lovelyday12/Shutterstock.com)
ベンチャー投資から事業再生まであらゆる場面で活用されるファンドは、事業承継でも力を発揮します。事業承継においてファンドを活用するメリットはどこにあるのか、本稿ではその活用方法について解説します。

そもそも事業承継で課題となることは?

事業承継は主として(1)親族承継、(2)役員や従業員への承継、(3)第三者承継の3つに分類されます。(1)親族承継では、後継者に自社株式を移転する際に贈与税や相続税をいかに抑えるかといった節税対策や後継者の育成が課題となることが多いといえます。

これに対して、(2)役員や従業員への承継や(3)第三者承継の場合には、承継を受ける側が対象企業の株式を購入するための資金調達が課題になることがあります。

ファンドとはどのようなものか

ファンドとは、投資家などから調達した資金を一定の投資対象で運用して、収益を分配するものを指します。例えば、成長余力のある未上場の企業に投資してIPO(株式公開)や第三者への売却で資金回収を図るプライベートエクイティ・ファンド(PEファンド)、窮境に陥った企業に投資する事業再生ファンドなど、その切り口によってさまざまなタイプに分類できます。

役員による株式取得をMBO(Management Buy-Out)、従業員による株式取得をEBO(Employee Buy-Out)と呼びますが、そのようなケースでもファンドやベンチャーキャピタルの資金が活用されています。具体的には、ファンドからの投資や金融機関からの融資を受けたSPC(特別目的会社)と呼ばれる受け皿会社が対象企業の株式を取得し、得られた配当などを返済や収益分配に回します。

つまり、対象企業の株式を移転する必要がある事業承継においては、ファンドを活用できる場面も多いという訳です。

事業承継でファンドを活用するメリットは

それでは、具体的に事業承継でファンドを活用するメリットはどこにあるのでしょうか。例えば、事業会社への承継では、事業会社が買収のための資金を十分に調達できないケースも考えられます。これに対して、ファンドでは一般的に資金調達手段が多様で資金が潤沢であるというメリットがあります。

また、通常の事業会社への第三者承継では買い手企業に経営権を完全に移譲することになりますが、ファンドを活用した場合、経営権はファンド側が掌握するものの、日々の会社運営は従来の経営陣に託されるという方法もとられます。

第三者承継では単に買い手企業の事業とのシナジーが追求される可能性があります。しかし、ファンドを活用する場合には、ファンド側と従来の経営陣で共通目標を見出すことにより、ともに企業価値やキャッシュフローを高めることを目指すことができます。従来のブランドや企業風土を維持するケースも多いといえます。

ファンド側から外部ノウハウや経営のサポートを受けたり、経営陣や従業員にインセンティブを与えることで士気を高めたりできることもメリットと考えられます。

ファンドの活用で気を付けることは?

プライベートエクイティ・ファンド(PEファンド)などでは投資の出口戦略を基本的にIPO(株式公開)としている場合があります。そのような場合、ファンドは投下資金の回収を目的として経営陣に対してさまざまな要求を出し、経営の自由度が制限される可能性があります。したがって、ファンドをパートナーとする際には慎重に選定する必要があります。

ただし、優先株式による出資などによりインカムゲインによる資金回収を図るケースなどもあります。ファンドの性格や投資方針については十分確認した方が良いでしょう。

以上のように、ファンドの活用にはメリットも多い反面、留意すべき点もあります。ファンドを活用するためには事業承継のスキームに精通した専門家のアドバイスを受けることが現実的な方法といえるでしょう。

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